新潟歩き旅Day8~9

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8日目

8月3日。

湯沢町の公園で起床。

流石スキーリゾートなだけあって涼しい。

7日目まではシュラフを使うには暑く温度調整が難しかったが、ここでは丁度いい。

朝食を取り、6時に出発した。

 

 

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途中、道の駅みつまたで休憩をした。

綺麗な池が特徴の道の駅で、池には錦鯉がいる。

錦鯉といえば山古志のイメージだったので湯沢町で見れたのは意外だったが、それでもこうして錦鯉を見るとついに新潟に入ったのだなという実感が湧いてくる。

池に寄るとユラユラと近付いてくるのがまた可愛らしい。

そんな可愛らしい鯉たちを眺めていると、おじさんに声をかけられた。

少し前に私を車で追い越してきたらしく、応援の言葉とイオンウォーターを頂いた。

おじさんと別れ、少しして私も出発した。

 

 

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越後湯沢駅を過ぎてしばらく歩くと、錦鯉を売っている店があった。

ここまで大量の錦鯉を見たのは初めてである。

しかもみんな子鯉なので可愛らしい。

私はたまに多摩川で鯉釣りをするため、「あれ、鯉ってこんなに可愛かったっけ」と余計にびっくりしてしまう。

話はそれるが、昔は私の家にも錦鯉がいたらしい。

祖父が新潟の十日町出身で、知り合いから貰ってきたそうだ。

長い間飼っていたが、あるとき錦鯉は死んでしまった。

普通ならそこで埋めてくるなりするのだが、祖父は「勿体ないから」ということで鯉刺にして食べてしまった。

…と、私は叔父から聞いている。

このカラフルなやつを食うのか…と困惑しつつもどんな味がするのか気になってしまうあたり、「この祖父にしてこの孫あり」ということなのだろうか。

 

 

その後は特に何も起こらないまま夕方まで歩いた。

ちょうど道の駅があったので、駐車場の隅に寝させてもらう。

道の駅で気付いたのは、「蚊のいないことの快適さ」であった。

夏場は暑く、準備するのが面倒なので、私は寝るときにテントやツェルトを使わない。

銀マットと寝袋だけ敷いて、貴重品は寝袋の中に入れて寝ている。

しかし、これまで野宿した場所はたいてい蚊がいたので、寝ている最中に羽音で起こされることが何度もあった。

それが今回は全くないので、ぐっすりと眠ることができたのである。

やはり蚊対策は考えないといけないと思った次第であった。

 

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9日目

8月4日。

5時台には出発しようと思っていたが、あまりの快適さに寝坊。

起きると既に6時であった。

朝食を取ってすぐに出発する。

 

出発してすぐに、目の前に車が止まった。

降りてきた男性から、「覚えてる?」と一言。

数秒かかったが、わかった。

6日目に三国峠の前で凍ったお茶をくれたおじさんである。

まさか再会するとは思わなかったので、非常に驚いた。

「あの日は仕事で向こうに行っててさ、地元はこっちなんだよね。いやあ、ついにこっちまで来たんだねえ。ほら、またお茶やるよ」

そう言って、おじさんは私にお茶とおにぎりをくれた。

私が寝坊しなかったり、違う道を選んでいたらこうして再会することはなかったはずである。

奇跡の再会…ではないが、意外と簡単に再会って果たせてしまうのだなと感じた。

 

 

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この日は長いトンネルがあった。

ちゃんと歩道がついているので三国トンネルのような緊張感はないが、やはりトンネルは嬉しいものではない。

遠目には綺麗でも、実際は排ガスのせいで壁が汚れ切っているので、うっかり擦ると服や装備が真っ黒になってしまう。

さらに休憩できる場所もないので、どんなに疲れても歩き続けるしかない。

おまけに空気も汚ければ、景色も面白くない。

そこで、私はトンネルを歩くときブルーハーツを歌うようにしている。

最初は退屈しのぎに歌ってみたのだが、声が反響するので意外と楽しい。

それに他の歩行者もいないので、好きなだけ大声を出すことができる。

リンダリンダを無限ループで歌っても誰にも怒られない。

今回のリサイタルは30分催された。

流石に喉が疲れてしまった。

 

 

 

トンネルを抜けて十日町に入ると、次第に道が栄えてきた。

気付くと商店街が広がり、人も沢山歩いている。

久々に町に出たなという実感があったが、市街地に出てしまうと徒歩旅的にはやりにくい。

空き地が無いのでなかなか休憩できず、その辺でくたばることもできない。

今思うと、初日のハードさはこうした要因もあったのかもしれない。

それでも、人が多いと応援して頂く機会も増えるので嬉しい気持ちもある。

応援されてしまうと余計にくたばることができないので大変だが。

 

 

18時を過ぎたので、野宿の準備をする。

この日も道の駅で寝る予定だったが、現地を見たら寝れそうな場所がなく人通りも多いので断念。

代わりに、無人駅の脇で寝ることにした。

こちらは本通りから外れているし、終電を過ぎれば人も来ない。

いつも通りテントも張らず、ひっそりと寝かせて頂いた。

 

 

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