新潟歩き旅Day7
7日目
8月2日。
前日は公民館のような場所に泊めて頂いた。
出発するときはそのまま出て行っていいよと言われたので、5時前に出発した。
実際、朝に会える手段も無かったし、それを見越して前日のうちに挨拶は済ませてあったので出ることにした。
この日は三国峠を越えて新潟に入ることが目標である。
しかも今夜の宿泊場所は苗場プリンスホテルの予定。
交通量の少ない朝のうちに峠を攻略し、優雅にホテルでくつろぎたい。
早朝に出発すると、気温が低いため快適に進むことができる。
しかも周りが山に囲まれているため、平地よりも涼しい。
出発して1時間ほどで峠の手前にある公園に到着し、休憩していた。
休憩中、酷く腹が痛んだ。
どうやら前日に酒を飲みすぎたのが影響したらしい。
二日酔いにはならなかったが、このような形で影響することまでは計算していなかった。
だが本当の計算外はトイレに入った後に発覚した。
パンツを下した瞬間、そこには通常の3倍ほどの大きさに肥大化した自分の陰部があった。
どうやら朝に山で用を足した際、ヤブカに刺されまくったらしい。
その腫れ方は凄まじく、ボンレスハムのように段々になっていて、先端のほうにはピンポン玉がぶら下がっていた。
冗談抜きで、人生が詰んだと思った。
一体、何科を受診すればよいのかもわからない。
とりあえず写真に撮って友人に送ってみたところ、「ジャバ・ザ・ハットみたいだ」との評を頂いた(実際はジャバ・ザ・ハットのほうが全然マイルドなフォルムである)。
ちなみに私は「奇形のちぎりパン」と形容していた。
変わり果てた自分の陰部に対しショックを抑えきれなかった。
しかし、えげつない色の尿が出るものの特に痛みや痒みは無かったので、そのまま放置することにした。
というより、薬も無ければ近くに病院も無いので放置せざるを得ない。
問題だったのは腹痛のほうで、その後2時間はベンチに仰向けになって寝ていた。
ようやく動き始めたころには太陽も活発に仕事をするようになっていて、一体何のための早起きだったのだろうと頭を抱えてしまった。
ところが、その後はわりとスムーズに進むことができた。
10時には三国峠に到着。
そこからは黙々と歩き続けた。
普通の道路と違い、峠道は休憩できる場所が少ない。
しかし逆に言えば、過剰に休憩してしまうことを防げるので着実に進むことができる。
今回の旅では常にタイマーで時間を計り、おおよそ1時間に一回は長めの休憩を取るようにしていた。
ただし肩や腰に限界を感じた場合やマメを処理する場合は小休止を取り、支障をきたさないようにする。
7日目になるとマメを潰すのにも慣れてきて、時間のロスも減ってきた。
三国の峠名物、55個のカーブを登り切って三国トンネル手前で休憩する。
このトンネルを抜ければ新潟県である。
さらに、このトンネルさえ抜けてしまえばもうほとんど危険な道はない。
念のためバックライトを装備し、トンネルに突入した。
トンネル内は非常に狭く、トラックと車がそのまますれ違うことができない。
そのため、トラックは対向車が来ると徐行して通る。
それほど狭いトンネルであるため、無論歩道などない。
車通りが少なかったので私は敢行してしまったが、それでも運転手側からすれば迷惑(というよりあのトンネルを人が歩いているのは恐怖)なのは間違いないので、可能な限りは避けたほうがよいだろう。
なるべく早歩きで進むことに努めた結果、幸運にも無事トンネルを抜けることができた。
実際に歩いてから気付いたのだが、「三国路自然歩道」等の道も存在するらしいので徒歩の場合はそちらを利用したほうがいいかもしれない(実際に通れるかは不明)。
出発から一週間、ようやく新潟県である。
とはいえ、目的地は新潟市なのでまだ全行程の半分くらいしか達成していない。
峠を下り、苗場のリゾートホテル街に到着。
プリンスホテルに素泊まりしようと思っていたが、実際に目の前にしてみると
「いや、やっぱり野宿して、浮いた分のお金で新潟で豪遊したほうがいいのでは…?」
という考えが巡ってきて、結局宿泊は見送ってしまった。
この時点で、完全に野宿への抵抗が無くなっていたらしい。
その後は3時間ほど進み、公園で野宿をした。
水道付きなので頭からジャバジャバ洗った。
確かにそんな奴にはホテルなんて勿体ないのかもしれないと思った次第である。
本日の成果