新潟歩き旅Day6

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6日目

8月1日。

川沿いで起床。

そのまま沐浴をする。

優雅な目覚めである。

朝食をとり、6時前には出発した。

 

 

この日の目標は三国峠の手前まで行くことである。

峠で日没を迎えると危険なので、まずは手前で一泊する。

翌日、明るいうちに攻略してしまおうという考えである。

5日目同様、狭い道を黙々と歩く。

少し栄えた道の途中、HUMMERの自転車に乗った5歳くらいの少年から道を譲られ、「気を付けてください」と激励を受ける。

育ちの良さに感服しながら着々と進んでいく。

他にも、除草作業をしていた三人組の作業員の方と話した。

しかも一人は昨日、私を17号で見たらしい。

結構見られているのだなと驚いたが、他に歩行者がいないのだから目立つのも当然か。

「これ持って行きな」

と別れ際にカリカリ梅をくれた。

こういうのも本当にありがたい。

 

 

昼過ぎになり、やや広い道に出た。

今度は車に乗ったおじさんから声をかけられ、凍ったお茶を頂く。

なんだか、物貰いの旅みたいになってきてるな…

とはいえ、実際ありがたいのですべて頂く。

お茶を目頭に当てて涼を取りながら、木陰で休憩した。

 

 

休憩中に地図を見ると、遅いペースながらも着々と進んでいたので、野宿予定地にかなり余裕をもって着きそうだと気付く。

さらに予定地までの道は過去に自転車旅をした際によく覚えている道であり、特に面白みがなさそうなのも知っていた。

そこで、遠回りにはなるが一旦17号を外れ、迂回してみることにした。

急いだところでどうせこの日は峠まで行かないので、寄り道である。

初めは特に何もなかったが、1時間ほど歩くと町に出た。

お神輿や山車が道にあったので、ちょうどお祭りらしい。

見ていきたい気持ちもあったが、日が沈んでしまうと大変なので写真だけ撮って進むことにした。

 

 

町を歩いていると、犬を散歩しているおじさんに話しかけられた。

「お兄さん、新潟こっちの道じゃないよ」

「あ、寄り道しようと思ってこっち来ちゃいました」

いつも通り、旅をしている旨を簡単に告げながら少し一緒に歩いていた。

「…ところで今日ちょうどお祭りあるんだけどさ」

「はい」

「神輿担いでいかない?」

「やります」

まさかの展開である。

知らない土地でいきなりお祭りに参加する。

というかお神輿ってかなりキツイのでは…

快諾した後になって色々と不安も出てきたが、こんな機会を逃したくはない。

身体がブッ壊れて旅が続行できなくなったとしても、それはそれで名誉ある故障なのでいいかと思った。

 

 

お祭りが始まる少し前、焼きそばと飲み物を貰いに行った。

関係者だけでなく、お祭りに来た人に対して振舞われるものらしい。

ビールやサワーもあったが、担ぐ前に酔うと死にかねないのでウーロン茶にした。

食べ終わって少しすると、お祭りが開始した。

まず清めの酒を飲み、それからお神輿を担ぐ。

ハッキリ言って、滅茶苦茶に重い。

私は先頭から二番目の位置だったが、目の前のおじさんは既に泣きそうな表情をしている。

この状態で1時間半ほど町内を周るらしい。

そして、笛の合図とともにスタートした。

お神輿を担ぐのは中学生ぶりだが、やはり身長が大きくなると負担も大きくなる。

先頭のおじさんは大柄だったので、非常につらそうである。

案の定、15分ほどで先頭が離脱した。

必然的に、私が先頭になる。

先頭に行くと、さらに負担が大きくなった。

肩が痛すぎてつぶれそうになる。

それでも試行錯誤して痛くない部位を見つけ、なんとか休憩ポイントまで凌いだ。

休憩ポイントに着くと、ビールとアイスが振舞われた。

声出しで喉が乾ききっていたので、ビールを2杯貰う。

この担ぎと休憩のサイクルがあと2回繰り返され、最後は地元民だけで神社に返された。

全員汗だくで疲れ切っていたが、皆充実感に満ちた表情をしていた。

 

 

その後は公民館で打ち上げ的なことをした。

まさか旅の最中に寿司と日本酒が堪能できるとは思ってもいなかったので、実行委員長たちにお礼を言いに行った。

最初は普通に飲んで食事をしていたのだが、途中でおじさん(昼間とは別の人)から指名を頂いたので席を移った。

話を聞かせてほしいと言われたので、これまでの道中の話や過去の旅などについて語った。

おじさんはコップが空くとすぐに酒を注いでくれる。

私も祭りの後で気分も高まっていたので、酒が物凄い勢いで進んでしまった。

正直に言って、その後は気分が高まりすぎてどんな会話をしたのかあまり覚えていない。

しかしお開きになるまでずっと話していたのは確かであり、最後はツーショットを撮ってお互いの住所と連絡先を交換した。

そして委員長に挨拶をし、おじさんたちと熱い握手や抱擁を交わしたりして終了。

とにかく楽しい一日であった。

 

 

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